企業の一員として常に意識すべきことはなにか

先日、上司が会社のみんなに問いかけました。「企業の一員として働く人が常に意識すべきことは何か」と。すかさず誰かが「profit」と応じ、その上司は「That's right!」と力強く言っておりました。


まぁそれも正解だとは思うのですが、私としては、「その前段階が重要じゃないの」と思ったのです。「profit」を生むための「顧客と従業員」が私の答えだろうなぁと思ったんです。上司であるスウェーデン人を説得するほどの熱血漢でもないので黙っていましたが、ひとこと「profit」で言えるほど企業というものは簡単ではないのだろうと思っています。


「profit」について松下幸之助は「実践経営哲学 (PHP文庫)」のなかで以下のように述べています。

事業を通じて社会に貢献するという使命と適正な利益というものは決して相反するものではない。使命を遂行し、社会に貢献した報酬として社会から与えられるのが適正利益だと考えられる。


中略


企業が供給する物資なりサービスのなかに含まれている努力や奉仕が多ければ多いほど、需要者や社会に対する貢献の度合いも大きく、したがってまたその報酬としての利益も多いというのが原則だといえる。

私は利益はご褒美だと理解しています。良いものを提供してくれたからその分のお礼だよと、次も頼むねと。
そのためには需要者や社会に貢献して、満足させなければご褒美はいただけない。「profit」の大前提となる「顧客(需要者や潜在需要を含む社会)への貢献」が重視されるべきであると考えています。

ここまでが「顧客」の視点。

ここからが「従業員」の視点。

またもや引用です。バーナードは「新訳経営者の役割」のなかで、「協働における人間」について信念を表明しています。

私は人を自由に協働せしめる自由意志を持った人間による協働の力を信じる。また協働を選択する場合にのみ完全に人格的発展が得られると信じる。また各自が選択に対する責任を負うときにのみ、個人的ならびに協働的行動のより高い目的を生み出すごとき精神的結合に入り込むことができると信じる。協働の拡大と個人の発展は相互依存的な現実であり、それらの間の適切な割合すなわちバランスが人類の福祉を向上する必要条件であると信じる。

profitのためには協働を拡大させ、それに相互依存している個人の発展が必要なのです。


profitを生むためにはこの「顧客」と「従業員」を念頭に、これらへの貢献と、感情への配慮と発展を考えるのが大前提であると思うのです。松下幸之助とバーナードの権威を借りましたが、長期的に「良いprofit」を計上するためにはどうすべきか、そのためには何を「大切なもの」と捉えて経営するか、企業の成長を分ける非常に重要な土台だと思います。