国際化の橋頭堡としてのコンサルティング

国際化をはかろうとする企業はまず輸出からというのが一般的でした。70年代以降、自動車産業も電機産業も機械産業も、日本国内で製造した製品をトコトコと海外に持っていって売るということから始めました。製品を受け入れられる土壌ができると、工場を建設して開発部門を併せて設け、地位を確立していきます。


しかし、どうしても輸出が難しい産業も存在します。重量あたりの単価が安く、輸出したとしても製品価格のほとんどが輸送コストで占められてしまい、現地製品に勝てない場合。例えば、化学(粉洗剤、パウダー)、セメント、食品などです。他には進出国の政治的な理由で参入が許されない場合があります。インフラを担う電気、ガスは障壁を突き付けられます。


これら、製品そのものの輸出が難しく、国際化の橋頭堡を築きにくい産業の企業にとって突破口となるのが「コンサルティング」です。日本国内で培って高められてきた技術や仕組み、効率性やノウハウなどをもって海外に出て行く。日本でのやり方が海外企業に適用されれば、自らの指定する部品や納入企業も使えるようになるし、後々は違うやり方ができなくなり、さまざまなスイッチができなくなる。その国のやり方をコントロールできる可能性があるのです。真っ正面から進出国の産業とぶつかるのではなく、間接的なやり方で関与して、時間をかけて自らの望む方向に産業全体をコントロールする進出の方法はありだと思っています。

 東京電力は11日、アジア開発銀行から業務受託したラオスベトナム間のメコン川流域における国際送電系統マスタープラン策定のためのコンサルティング事業を現地で開始したと発表した。受託額は約9000万円。
 今回の事業は送電、系統部門の技術者や社会環境影響評価の財務分析の専門家を順次現地に派遣。カンボジアを通過し、ラオスベトナムを結ぶ50万ボルト国際送電系統について、経済、環境、社会面での影響評価を踏まえたマスタープランなどを策定するというもの。ベトナムでは南部を中心に急増する国内の電力需要への対応が喫緊の課題となっており、同事業を通じて設置される50万ボルト国際送電系統により、ラオスからの電力購入を検討している。一方のラオスは同送電系統を通じて発電電力量の一部をベトナムに売電することで外貨収入が期待できる。
 東電は同社の技術・ノウハウを活用した海外でのコンサルティング事業を今回を含めて55カ国で展開。2007年度は49件受託し、受託額は約19億円だった。

東電、メコン川でコンサル ベトナム・ラオスの国際送電系統(FujiSankei Business i 12月12日)