「正」と「正」の対立

経営「戦略」という名称もある通り、ビジネス用語は戦争の用語からとられたものが多くあります。戦争物から多く学ぶことがあるということでもあります。


先日、ひょんなことから「クリムゾン・タイド」を観ました。


冷戦後の国際情勢を舞台として、ロシアの反乱軍が核ミサイルを奪取し、米国と日本を攻撃すると脅迫して緊迫、というシチュエーション。この事態に、たたき上げの艦長(ジーン・ハックマン)とエリートの新任副艦長(デンゼル・ワシントン)擁するアメリカの原子力潜水艦が緊急出動。

反乱軍攻撃のための目的海域に達した艦は、本国の指令受信中に魚雷の攻撃を受け、通信が途絶える。指令の確認を優先とする副艦長と即時核攻撃を主張する艦長は激しく対立し、艦は混乱に陥る。核ミサイルの発射命令指令をめぐって起こる内部の葛藤を描いた作品です。


数年前にも観たことがあるのですが、経営を学んだ後に観た今回は、奥深すぎて多くの問題提起を感じ取ってしまいました。


もっとも考えさせられたのは、「正」と「正」の対立です。本編の最後では「組織が本質的に抱える永遠のジレンマ」と総括されています。「2人の最高指揮官が意見を異にし、調整がつかない間に命令系統システムが崩れた。法規的は双方が正しく、双方が間違っている」と。


不確定要素に満ち溢れたビジネス環境の中では自分自身の中でも、組織の中でも「正」と「正」は対立しますが、リーダーは決断をしなければなりません。対立のなかで間をとったり、決断を先延ばしにしては命取りです。リーダーには高次の精神性をもって決断しなければならないと思わされます。


では、それがどのようにしたら養えるのか。一つの答えは出光の天坊会長いわく「歴史観」かもしれません。大局の中での人間をどう捉えるかの価値観を構築することが必要だと思いました。


もうひとつは「倫理」だと思っています。自分の心に恥じない決断を。