官僚制の逆機能

2009年の7月から外資系ラグジュアリーブランドで働くようになって、壁にぶつかることが多々あります。


日本の権限が非常に小さく、なんでも本国にお伺いを立てなければ物事が進まないことなどは想像の範囲内。すべては客観化され、なるべく現場の人間性や声を排除して柔軟な対応を避ける。そこで働いている人たちがその考え方が染み付いていて、それが当然だと思っている。


結果、部門間のコミュニケーションが滞り、組織内で情報が流れることはなく、市場に対応できなくなっている。


これはもう完全に「官僚制の逆機能」なのではないかと。


ゼミナール経営学入門(旧版)によると、官僚制は、本来は合理的な管理・支配の制度として生み出されたとのことです。

官僚制組織では仕事は合理化され、客観化され、属人性を排除できる。仕事の予測可能性も高く、調整も容易になる。人々の専門能力を発揮することができ、組織としての統一性も維持できる。マックス・ウェーバーは最も合理的で効率的な組織だと考えたとあります。


しかし、マイナスの効果も生み出すことがあり、現在では問題とされることのほうが多いとされ、逆機能として7つ挙げられています。

  • 規則や手続きの遵守が優先され、それが何のためにつくり出されたかが忘れられる
  • 予測のたたない事態が回避され、臨機応変な対応ができない
  • 組織全体よりも部門の利益が優先される
  • 規則の客観的な適用が重視され、人間的な配慮が忘れられてしまう
  • 組織の力と自分の力とが混同され、外部に対して威圧的に行動する
  • 自分自身の責任を回避するために、例外的な事態に対しては、必ず上司の指示を仰ごうとするために、対応に時間がかかる
  • 自分自身の担当外の仕事に関心を示そうとしない



一般的には、日常反復的な仕事の多い職場、人の出入りの激しい職場、取り扱いの公平さが求められる職場では官僚化が進むとされていますが、今のビジネスの現場ではほとんど排除されるべきと考えられているかと思います。クリエイティブな仕事を多分に含んだビジネスをしなければ誰も見向きもしてくれない現在、外資系の官僚的な組織が儲けられるのか。まあブランチだから余計なことはするなということなのかもしれませんが。