プロジェクトが失敗する時の3つのサイン

プロジェクトが頓挫するか、成功に持ち込むにはかなりの根性がいるぞという、兆候。
こんな兆しが少しでも表れたら早めに手を打ちましょうよという、三戒。

【詰めの甘さの連鎖】

「7割の出来だけど、納期が来たから次の工程にまわしちゃえ」、「この部分が不透明だけど、細かい点だからいいや」、「下請けの担当者がやってくれるだろう」、「最終チェックの時には修正されるだろう」。


このツケが最終の出口にすべて回される。その結果、最終責任者がお尻を拭こうとして頑張って余計な時間が費やされるか、前工程へと膨大な手戻りが発生し、永遠に製品が出て行かないことも。最悪の場合はプロジェクトが消滅。

こうならないためには、自分の工程で120%の責任を果たすこと、もし甘い仕事が流れてきたら突き返すことも仕事の一部であると認識すること。でないと自分の責任が果たせなくなってしまう。

【明らかな短納期】

「もう納品日が決まってるんだからやるしかない」、「とりあえず納品して、契約はその後で」、「全量を納品したことにするけど、まずは半分だけでも」、「見た目だけ整えて、あとで修正すればいいんだから」。


仕事の内容が決まる前に納期だけが決まることがある(笑)。納期に間に合わせるためだけに内容が変わることがある(笑)。納期に合わせて商品がつくられる(笑)。確かにタイミングは大切だが、内容を伴わない納期にあまり意味はない。

また、無理な納期が上記の詰め甘さの連鎖も誘発する。「時間がないから工夫しよう」といいう発想さえ許さない「とりあえず納期までに形を整える」という愚。


自分の責任を果たすための時間が割けないプロジェクトは受けないこと。しかし、(断ったうえで)、極端な短納期でも「どうやったらできるか」を考えて、実現すればイノベーションになるので、この情報資産を活かし、研究を行うこと。

【最終責任者が反論できない構造】

前工程の人曰く、「俺たちが頑張ったんだからお前が帳尻合わせろ」、「いまさら降りるなんて言わせないぞ」、「お前は形だけ整えればいいんだ」。


市場への出口に立つ人が製品やサービスの品質に最終的に責任をもたなければならない。しかし、それを許さない政治的な構造をもつことがある。出口の人間としては明らかに品質基準を満たさないと認定されるものなのに、前工程の人達の先のような圧力に屈してしまって努力の浪費をすることがある。出口の人間は前工程で生じた欠陥にを埋めるべく、必死のお化粧をして市場に投入するが、結果は言わずもがな。


このサインも、結局は、自分が最高意思決定できないプロジェクトは受けるなという話。政治的な動きがある、ドロドロした案件には関わるなってことです。変なプロジェクトに巻き込まれないためには、デューデリジェンスが肝になるかと思います。

「見積出して〜」と言われ「はい!わっかりました〜」では危険。相手に嫌がられるくらいの事前のすり合せがないと査定できず、失敗へまっしぐら。デューデリジェンスのためのすり合せを相手が嫌がるようだったら、そんな相手とは組まない方が良い。

肝は経営者の胆力

どれも仕事をとらないうえに、仕事を失う可能性があるもので、特にスモールビジネスでは難しい判断かと思います。しかし、これを繰り返していると、必ずいいプロジェクトに出会い、発展の緒が拓かれると確信しております。

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