羽生4冠(今日現在)から「守・破・離」のエッセンスを学ぶ

机の上が資料やらペンやらレシートやらでぐちゃぐちゃになっていたので、ちょっと早起きして片付けてみた。そしたらいつでも目に入るようにとおいていた羽生名人の「決断力」(角川書店)という新書がひょっこり顔を出してくれた。いつも目に入るところに置いていたつもりが、いつの間にか奥深くに潜んでいたなんて。。。


「決断力」というタイトルがついていますが、羽生名人の脳みそが明かされるという、決断どころではないすごい本です。将棋をする人はどんな考え方なのかな?という内容ではなく、ビジネスマンやクリエーターが仕事をするうえで参考になることが盛りだくさんです。


例えば3文章をあげます。

将棋にも戦略のロードマップである「定跡(定石)」がある。しかし定跡は記憶するだけでは役に立たない。自分のアイデアや判断を付け加えてより高いレベルに昇華させる必要がある。そのためには”自分の頭で考えること”が先決。
将棋のプロでも将棋のことは意外にわかっていない。無限の未知の領域にどれだけ深く踏み入っていけるかが醍醐味だが、むやみに趣向を凝らすのが好きな訳ではない。趣向には思想がなければならない。やたら目新しさで度肝を抜くのではなく、その奇手が新たな地平を開拓する一歩でなければ、ただのこけ威しにすぎないだろう。
今は周りに流されやすい時代だ。情報の量が増え、それへの依存度が高くなってしまう。高くなると、イメージを思い浮かべたり、ものをつくるといった力が弱まってしまいがちだ。そんななかで、自分なりのスタイルや信念を持つことが、非常に大事になってきているのではないだろうか。どれがないと根無し草と同じ、流されるだけになる。自分なりの信念やスタイルをもつことは、物事を推し進め、深めていくためのキーなのだ。


天才だから奇抜なアイディアが湧いてきて、寝てても相手も倒せるんじゃないかと錯覚しちゃいがちですが、どんな天才でも基礎をしっかり築いたうえで思想を熟成させながら、未開の地への試行錯誤を進めているのだと痛感させられます。反面、基礎もないままに奇手を繰り出す人や企業がいかに多いことか。


以前トヨタの工場見学にお邪魔した時に、あのトヨタの工場内に「愚直」と書かれた張り紙がしてあるのを思い出しました。すごい会社、すごい人ほど基礎を疎かにしない。