美のよりしろ

今日11日の日経朝刊は読ませる記事がたくさんありました。

全日空のヘリ整備部門を欧州のヘリ最王手が買収」「110cc級スーパーカブ」「東関親方45年」「チェンジアップ」「私の履歴書の合併話」など、それぞれでビール5本飲めるくらい、議論できる話でした。


さらには私が食いついたのが最終面の「美のよりしろービデオカメラの内部ー」です。wikipedia:よりしろとは「神霊が依り憑く(よりつく)対象物のことで、神体や場合によっては神域」だそうで、「美がよりつく神域」と言ったところでしょうか。


現代美術家山口晃さんが、「家庭用小型ビデオカメラの内部に精緻な部品が並ぶさまに見惚れる」と書いています。「美に特化していないがために、かえってそこに美の現れる時がある」とも。


紙幅の都合で多くは語られていませんが、私にはものすごく説得力をもちました。「美に特化していないがために、かえってそこに美の現れる時がある」というのは、ものすごく言い当てられたような気がします。

パーツひとつひとつに軽量化やコスト削減努力が染み込み、組み立てる側もデッドスペースをなくし、かつ組み立て作業しやすい設計をし、ひとつひとつの美しいモジュールが複雑でありながらシンプルに組み合わされ、ムダと極限まで削ぎ落とし、機能として最大限のパフォーマンスを発揮すべく研ぎ澄まされ、あらゆる人や企業の努力の結晶として、製品となる。その製品がユーザーの手によっていかようにも生かされる。


日本にこういう考えをもつ人がまだいたことを嬉しく思い、同時に、このようなモノやモノの背景にあるものを愛する消費者がいる国だからこそ強いメーカーが育つのだろうと思いました。安さだけが商品の価値じゃないんだよと。