研究開発体制のデザインは難しい

もう4年近く前のことですが、博士を日本で最も多く採用している企業の研究所を見学したことがあります。そこでは主に2つの要素技術を見せてもらい、用途開発について考えるプロジェクトでした。


見学後、仲間内で意見がまっぷたつに。

片方は「こんなモノにもならない技術を何十年も開発を許し、資源のムダの何者でもない。だからこの会社は凋落の一途なんだ」と。もう一方は「いや、なにがモノになるかわからないから、あらゆる研究開発を怠ってはならない。研究開発投資を渋ったらもっと悪くなる」と。私は後者に近い意見でしたが、研究開発の体制をどのように築くか、どのように技術を見込んで見切るか、むつかしいです。

そんなことをこの記事をみて思い出しました。

テルモ、開発部門再編、効率高め実用化を速く, 2009/06/01, 日経産業新聞
テルモは研究開発体制を再編する。6月19日付で研究開発本部を設置。新製品や新技術の基礎研究を担う研究開発センター(神奈川県中井町)と、国内3工場に設けている商品開発部門の情報を一元管理できる体制とし、開発効率を高めて実用化までの時間を短縮する。
現在、研究開発センターでは補助人工心臓など先進的な医療機器の基礎研究を進めている。また再生心筋など再生医療や、新薬開発につながるナノ(ナノは10億分の1)レベルの微粒子の開発も手掛ける。新体制では新規探索グループと位置づける。
各工場にある開発部門は主に製品の仕様の設計や製品改良などを手掛けており、商品開発グループと位置づけた。
両部門の情報を共有する体制を取り、初期段階から生産効率を考慮した製品開発ができる体制を整える。

情報の一元管理よりももっと踏み込んで、研究開発部門を一カ所に集めても良かったと思いますが、現場と離したくない気持もわかります。効果についての総括が数年後にレポートされたらいいなぁ。