パトロン商売
先日、「俺たちの商売はパトロン商売だからさ」という言葉を聞いた。それを聞いて、「ビジネスってすべてパトロン商売じゃないか。購買してくださるお客様が存在するのはどんな仕事でも同じだろう」と思いながらも、パタリロに思いを馳せてしまってそれ以上は深く聞こうとしませんでした。
その後「wikipedia:パトロン」という言葉のニュアンスは「不特定多数のお客様」という言葉とは異なることがわかりました。wikipediaには、パトロンとは「私的な庇護関係における保護者」であり、「法的、財政的、政治的援助を与える存在」だそうです。お客様というよりも保護者。
「パトロン商売だからさ」と発した人の仕事は、そう考えるとパトロン商売でした。でも悪い意味ではなく、「パトロンを獲得して援助を継続的に引き出せるだけの魅力があるものを生み出せるぜ」という自信を垣間みることができました。
ひるがえって、数量にものを言わせる消費材、産業材を提供する企業がそこまでの援助を受けられるものを生み出せているのか、疑問に思えてきました。かつての熱狂的なソニーファン達はパトロンと言っても良いかもしれません。しかし、今の企業にパトロンを満足させる商品を市場に出せているか。顧客のロイヤリティを満足させてくれる商品をうみ出して、魅力的な思想を打ち出せているか。
パトロン商売、良いことを考えさせてくれました。これからは「お客様を満足させる」を超えて、「お客様をパトロンへ」という姿勢の企業が増えたりして。
芸術のパトロンたち (岩波新書)
posted with amazlet at 09.04.20