お客との距離を短く

2009年10月は安居祥策帝人元会長が日経「私の履歴書」を書かれています。数日前に帝人ボルボに出向されていたころのエピソードに刺激されました。

ボルボを日本で売るためにはエアコンが弱すぎると。日本の湿気や渋滞の様子を訴えてもスウェーデンの人達には全く声が届かず、改善が進まなかったそうです。そこで安居さんは、スウェーデンから技術者を引っぱり出して日本に連れてきて経験させたそうです。そしてやっとのこと日本向けに改良することを理解してくれ、日本で市場導入が進んだと回顧されていました。


ここでもやっぱり「お客との距離を短くする」ことが肝なのだなと思いました。「お客との距離を短くする」という言葉はTDKの澤部元社長の言葉で、ITバブル崩壊TDKどん底に突き落とされた時に、市場の情報をいかに取り込み、それを製品にしていくかという仕組みを構築すした際の考え方です。研究開発のプロセスをより市場に近づけたり、顧客の顧客にまで付き合いを広げたり、日常業務のなかで市場の情報を取り込む仕組みをつくり、競争力ある製品をうみだせるようになりました。


三枝匡ミスミ会長の「創って-造って-売る」の早回し、「small is beautiful」も同じ考え方だと理解しています。


「お客との距離を短く」。言葉は短いですが、かなり難しいです。ただ、企業の存続はこれだけを追求すれば良いと言い切っても良いほどの真理かもしれません。


V字回復の経営—2年で会社を変えられますか (日経ビジネス人文庫)  企業戦略白書〈6〉日本企業の戦略分析:2006