イオンのPBは上手くコントロールされる気がしてきた

4月にイオンのプライベートブランド攻勢は「低価格を実現させるための様々な歪みで顧客が離れる」としてダイエーの二の舞に? - 戦略のみそ zentaku blogと疑問を投げかけました。しかし、その後ずっと「イオンはなぜPB押しなのか」を考え続けていたところ、ダイエーとの違いに思い至りました。メーカーからの視点が欠けていました。


ダイエーはメーカーを敵に回したPBだったのに対し、イオンはメーカーと利益とリスクを分かち合うPBなのではないかと思ったのです。ダイエーはメーカーからの仕入値など無視して赤字覚悟で叩き売ったり、品質の悪い製品に自社ラベルを貼ることで値ごろ感を出していました。そこが消費者の心をつかめずに惨劇を迎えました。


対して、イオンは違うように思えたのです。メーカーとの二人三脚のPBなのではないかと。不況期はメーカーのナショナルブランドも売上げは伸びないので、工場の操業度が下がった結果、有休設備や余剰人員も出てくる。遊ばせておくだけではマイナスがかさむだけなので、PBをつくって供給しようということになる。自分のブランドでなくても工場の稼働率を上げたいという欲求がある。


しかしメーカーとしてはナショナルブランドとPBの価格差やカニバリの説明がつかなくなってくる。そこで小売りが販売の責任を負いますよと。メーカーは製造だけしてください、消費者に対して品質、価格、流通など製造以外の責任は全部小売り側でみるからその分メーカーのマージンを少なくさせてもらって、価格も下がりますよと。

メーカーは設備の稼働率が上がり、流通面の責任は無くなるというメリットを、イオンは品質は劣らない製品を安く顧客に提供できるメリットを享受し合う仕組みが今日のPBなのではないでしょうか。お互いがリスクを配分し合う割合でナショナルブランド仕入れ量とPBの仕入れ量のバランスをとり続ければ良いと。


その結果、イオンとメーカーがケンカをしない限り、ダイエーの二の舞にはならないだろうとの結論に達しました。バランスのアートを描いたイオン、経営力凄まじ。イオン叩きから急激に方向転換した私の豹変恥ずかし(笑)