見えてきた携帯業界のスクラップ-ビルド

5年くらい前、スウェーデンに出張に行った同僚からノキアの「VERTU(ヴァーチュ)」のカタログを見せてもらった時には度肝を抜かれました。


先々週のことですが、ノキアが端末ではなく通信サービスとして日本に侵攻しようというニュース。ノキアは、「超高級端末で住み分けるから既存のキャリアや端末メーカーにご迷惑はお掛けしませんよ」という姿勢を見せていますが、本当の狙いは市場規模を考えて一般市場でしょう。端末を販売中止というニュースは恭順を示すための布石だと思います。

 携帯電話機世界最大手のノキアフィンランド)が日本で独自の携帯通信サービスを計画していることが22日、明らかになった。NTTドコモから回線を借り、超高級端末を使った富裕層向けサービスを来年3月にも始める。
 携帯端末メーカーが日本国内で通信事業を手がけるのは初めて。既存の携帯電話会社から回線を借りてサービスを提供する「仮想移動体通信事業者MVNO)」という仕組みを利用する。
 ノキアは来年初めにもチタンや金など貴金属を使った1台60万-350万円の超高級端末「ヴァーチュ」を日本で発売する予定。この端末の利用者向けに、専用オペレーターがホテルやレストラン、飛行機の予約などを代行するサービスや独自の音楽、ニュース配信サービスなどを計画している。

ノキア、日本で独自の携帯サービス ドコモから回線借り(NIKKEI NET 11月22日 14:36)


次のステップとしてドコモから回線を借りるのではなく、イーアクセスとかとJVで専用通信インフラを構築しようとするのでしょうか。そして機能を絞り込んだ低価格端末を売り倒すと。そのころにはメールもアドレスもそのまま移行可能などの乗り換えやすい外堀も埋まっているはずですし。


このモデルが成功すると、パナソニックやシャープたちが「ドコモなどのキャリアに縛られるビジネス」からの脱却を模索し始めるでしょう。そうすると今までのキャリアが支配する携帯ビジネスモデルは完全に崩壊し、その破壊のうえに端末メーカーが主導権握る携帯ビジネスが構築されるでしょう。


私は1ユーザーとして、値段の高止まり、需要にマッチしない端末開発等の不満があるので、キャリア主導の携帯ビジネスが崩壊し、あらたなビジネスのカタチがつくられることを願っています。

ノキア―世界最大の携帯電話メーカー
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