技術革新が旧産業を破壊する
先ほどお客さんとの打合わせ終わりの雑談レベルで、某社の業績が壊滅的になっている話が出た。某社は90年代に一世を風靡した会社であるが、いまでは希望退職を募集し、第三者割り当て増資をして生きながらえようとしている。
10年前までは需要があってそれを上手に満たしてきたから、社会的に存在意義があった。しかし環境の変化に伴って社会から存在を許されなくなってきている。
その背景にあるのは技術革新だ。その会社のつくる雑誌は一時は必要だった。しかしインターネットでみられる「情報はタダ同然」となり、「情報の多さと早さ」は雑誌には出せない。インターネットがこの雑誌を破壊した。
映画フラガールで描かれる炭坑の衰退も同様だ。石油の採掘と物流、石油の利用方法の拡大などさまざまな技術によって石炭産業は破壊された。フラガールではその衰退に嘆くだけでなく、副産物の活用によって新たな道へと踏み出した。
その転換の肝は「現状把握」と「戦略」である。環境変化に抗じているだけでなく、論理的に冷静に現状を理解し、次への一手を組み立てる。これができなければどんな企業も破壊される可能性がある。この破壊を恐れるか恐れないかで企業の経営力の底力がみえる。
いま死にかけている企業は現状把握も戦略も感じさせない。底の浅い経営をしてきたツケであろう。見えないが必ず迫ってくる「破壊」を常に想定していなければならない。
イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
posted with amazlet at 09.04.10